おおたけ脳神経・漢方内科クリニックの院長ブログ

鳥取市にある脳神経外科・脳神経内科・漢方内科の「おおたけ脳神経・漢方内科クリニック」院長ブログです。

こんにちは。今回は当院の脳ドックについて、説明いたします。

当院には鳥取県のクリニックでは初となる、1.5テスラMRIが導入されています。
MRIとは、Magnetic Resonance Imaging(磁気共鳴画像)の略語で、協力な磁気の力を利用して体の内部を撮影する検査装置です。X線による被爆がないので、 安全に病気の診断やフォローアップを行うことができます。また、テスラは磁力の大きさをあらわす国際単位で、その数値が大きいほど短い検査時間で質の高い画像を得ることできます。現在1.5テスラあるいは3テスラが主流となっていますので、大きな病院と変わらない画像診断を行うことができます。

脳ドックで分かることは、脳の状態(脳腫瘍、脳梗塞・脳出血、脳萎縮の有無)や脳血管の状態(脳動脈瘤・血菅奇形の有無、動脈硬化の程度)、頚部血菅の状態(最近は食生活の変化のためか頚部血菅に動脈硬化を認めることが多いです)などです。また、副鼻腔や頚椎もある程度観察することができます。

例えば、このような画像が得られます。
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また、脳ドックのサービスの一つとして体成分分析器を用いた評価も合わせて行っております(下画像参照ください)。
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体成分分析器を使用することにより、筋肉量や基礎代謝量、内臓脂肪レベル、体水分率などが分かり、現在の体の状態を知ることができます。体重が増えた場合でも、脂肪が増えたのか水分が増えたのか(むくんでいるのか)、脂肪は皮下あるいは内臓脂肪か、筋肉の量は落ちていないか、落ちていた場合上半身か下半身か、などの情報を視覚的に理解することができます。
今の体の状態を知ることで、将来起こるかもしれない病気(高血圧、高脂血症などの生活習慣病)に備えることができます。
ぜひ当院の脳ドックで、頭や体の健康状態を確認してみてください。

今回は両足のしびれの症例を紹介します。

60代女性の方。 3ヶ月前より両足の外側がしびれるとのことで当院を受診されました。
過去に右坐骨神経痛の既往があり、ペインクリニックで腰椎すべり症を指摘されているそうです。
現在両大腿外側から下腿にかけてびりびりとした痛みがあり、歩行がやや不安定な状態でした。両下肢の筋力低下や排泄障害は伴っていませんでした(これらの症状があると外科的治療が必要になることもあります)。
ちなみに、腰椎MRIの写真は次の通りです。
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腰椎の3番目(L3)と4番目(L4)の間ですべり症を認め、脊柱菅が狭窄し神経が圧迫されていました。ただ、画像的には神経の圧迫は強くはなかったので、漢方薬による治療を行う方針としました。

漢方医学的には、どちらかというと寒がりで手足末端が冷える、背部を中心に発汗がある、少し便秘気味などの症状は認めましたが、食欲や睡眠は良好で倦怠感もなく、比較的元気な印象でした。
診察してみると、手足の末端に冷えの所見を認め、お腹は下腹部が軟弱無力(小腹不仁、腎虚といわれる状態です)で心窩部は若干冷たくなっていました。舌をみると、やや暗赤で舌下静脈の怒張(お血の所見)を認めました。脈の力は比較的良好でしたが、若干の渋り(血の巡りが悪い状態)を認めました。 

小腹不仁が明らかでしたので、腎虚による腰痛や下肢のしびれに効果のある牛車腎気丸とし、腰椎すべり症に伴って脊髄周囲の血の巡りが悪くなっていることが予想されましたので(西洋医学的なお血の所見)、血の巡りをよくしながらびりびりとした神経痛に効果のある疎経活血湯を合わせて処方しました。さらに、当院にある物理療法の治療機器(低周波・中周波・高電圧などの複合的な電気治療が可能なASTEOや水の力で全身をマッサージするウォーターベッドなど)も利用してもらうことにしました。

2週間後に来られた時には、「足のしびれは6割程度まで改善しました」と言われました。漢方薬は有効と判断し同処方を継続しました(もちろん物理療法の効果もあります)。さらに2週間後、「最初に来たときよりも大分良くなっています。ただ腰を伸ばすと足がしびれます」と言われました。歩いてもらうと、歩行時足がスムーズに前に出るようになっていました。ただ、手足の冷えの所見は持続しており、診察上も血の巡りが悪い所見が持続していたため、一旦牛車腎気丸がお休みとし代わりに桂枝茯苓丸を疎経活血湯と一緒に投与しました。さらに2週間後、「しびれは4割程度までよくなりました。筋トレができます」とのことでした。まだ完全にはよくなってはいませんので、漢方薬を微調節しながら治療を継続しております。

このように、漢方薬は西洋薬とは違うアプローチで痛みやしびれに対処することが可能です。今回報告した腰痛以外に膝の痛みなどにも効果がありますので、お困りの方はぜひ一度ご相談ください。

またまた頭痛の症例です。

症例は30代の女性です。 元々偏頭痛の既往があり、月に10回程度頭痛を認めるとのことでした。今回は3日前の夜に、何かに打たれたような頭痛(患者さん本人の表現)が出現し、3日連続手持ちのスマトリプタン(偏頭痛の特効薬であるトリプタン製剤のひとつ)を内服しているが頭痛が続くとのことで当院を受診されました。

頭痛は左前頭部に限局しており、スマトリプタンを内服すると一時的には頭痛は改善するそうですが、すぐにぶり返すとのことでした。嘔気や嘔吐はなどの随伴症状は認めず、項部硬直(くも膜下出血や髄膜炎など脳表面を覆うくも膜の炎症で出現する所見 首が硬くなります)や神経学的な異常所見も認めませんでした。
重症感はありませんでしたが、何かに打たれたような頭痛であったことやスマトリプタンの効果があまりないこと、などから一度頭部の精査が必要と判断しMRI及びMRAを撮影しました。

すると・・・、
ぼうすい状動脈瘤


左内頚動脈(頭の中で一番太い血管)が海綿静脈洞と呼ばれる場所を走行する部分で紡錘状に拡張している所見を認めました(左内頚動脈海綿静脈洞部の紡錘状動脈瘤といいます)。普通の動脈瘤は風船状になりますが、この場合は血管が弾性板という組織を失い血管壁全体が膨らみます。前回提示したような血管の解離でも血管壁が不整形に膨らみますが、今回MRIでは解離の所見は認めませんでした。解離を起こしていなければ、血管が破けたり詰まったりする可能性は低いので経過をみることが多いです(時に徐々に大きくなって周囲の組織を圧迫すると治療が必要になることがあります)。とりあえず、数ヵ月後に再度画像評価を行う予定としました。

今回の頭痛に関しては、スマトリプタンが効かないことよりロキソプロフェンを頓服で処方し、漢方薬を試してみることにしました。
漢方医学的には、手足末端の冷えがある、便秘気味、睡眠は頭痛のため不良、肩凝り、などの症状を認め、頭痛は月経前後や雨降り前にひどくなるそうです。
診察してみると、手足の末端に冷えの所見を認め、両側の脇腹周囲が固くなっており(胸脇苦満 何らかのストレスの影響が伺われます)、臍周囲を圧迫すると痛みを訴え(お血の所見)ました。舌をみると、舌の腫大・歯痕(水毒)、舌下静脈の怒張(お血の所見)を認めました。

お血と水毒(簡単にいうと血のめぐりや水はけが悪い状態)が明らかであったため、桂枝茯苓丸加よくいにん(血に作用する漢方薬)と五苓散(水に作用する漢方薬)を合わせて投与しました。

 2週間後に来られた時には、「調子よいです。頭痛も良くなってロキソニン(ロキソプロフェン)は一回使っただけです」と言われました。頭痛とともに肩凝りも良くなっており、便通も毎日あるとのことでした。普段の偏頭痛もほとんど認めておらず、こんなに効くのかとこちらがびっくりしたくらいです。ただ、手足の冷えはまだ持続していましたので、しばらく漢方薬は継続することにしました。

この方は、頭痛、MRI、漢方と色々ありましたが、色々なことを1日で済ませることができました。

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