おおたけ脳神経・漢方内科クリニックの院長ブログ

鳥取市にある脳神経外科・脳神経内科・漢方内科の「おおたけ脳神経・漢方内科クリニック」院長ブログです。

2020年04月

みなさん、こんにちは。今回はちょっとめずらしい頭痛を紹介します。

40代女性。3週間前からつづく頭痛で当院を受診されました。頭痛は2日に1回の頻度でおこり、今朝はとくに頭痛が強かったとのことでした。近医で痛み止めを処方してもらっていましたが、効果がないようです。
頭部MRIを撮影すると、脳腫瘍や脳出血などの異常は認めませんでしたが、脳血管に多発性の血管れん縮を認めました。
血管攣縮1

これは可逆性脳血管れん縮症候群といわれる病態で、脳血管が収縮することによって急性の激しい痛み(雷鳴頭痛といわれ雷でうたれたような強い痛みのことが多い)をおこします。入浴や排泄、性行為などが引き金になることがあり、最近では違法薬物などが原因のこともあります(原因不明のことも多いです)。
ながびく頭痛の原因が分かり、ご本人さんは安心された様子でした。治療としては、血管拡張作用のある塩酸ロメリジンというお薬を処方しました。
1週間後に再診されたときには、頭痛は数回程度でかなり軽減していました。しばらくお薬は継続してもらい、1ヶ月後に再度MRIを撮影しました。
血管攣縮2

画像上、血管れん縮は改善していました。頭痛は消失しておりましたので、お薬は中止としております。

比較的めずらしい頭痛ですが、女性のながびく頭痛でときに見受けられますのでご注意ください。


みなさん、こんにちは。今回は抑うつや不安感に漢方薬を併用した症例です。

30代の女性が、気分の浮き沈み息苦しさを訴えて来院されました。
話を伺うと仕事のストレスが強く、胸の痞え感寝付きが悪い下痢と便秘を繰り返す動悸が強いなどの自律神経症状も認めました。
不安感や落ち込みに対しては、レキソタンという抗不安薬を処方し、自律神経症状に対しては漢方薬を処方する方針としました。
動悸がつらそうでしたので、苓桂朮甘湯エキス甘麦大棗湯エキスを合わせて処方しました。この2つの漢方エキス剤を合わせると、苓桂甘棗湯という煎じ薬に近くなり、不安感から生じる動悸(漢方医学的には奔豚気*といいます)に効果があります。また甘麦大棗湯には、感情失禁や神経過敏(いわゆるヒステリー)、不安感からくる気分の変調に効果があります。
2週間後に来院したときには、落ち込みや不安感が楽になってやる気が出てきた、胸の締め付け感や動悸も軽減して良く眠れるようになった、とのことでした。もちろん、抗不安薬の効果と思われますが、漢方薬も症状軽減の一助となっていると思われましたので、いずれも継続投与としております。患者さんにとっても、漢方薬を内服していた方が安心感があるようです。

このように、気分の落ち込みや不安感などで当院を受診される方もいれば、頭痛やめまいを訴える方の中にも軽度のうつや不安を抱えている方もけっこうおられます。いずれにしても、漢方薬には自律神経を整える作用があるので、症状緩和のために積極的に併用するようにしています。

*奔豚気:豚がへそから胸にかけてはしってくるような異常感覚、いわゆる動悸

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